十郎梅干しの仕込み方

完熟梅のみを贅沢に使った、昇珠園自慢の梅干しの仕込過程(漬け方レシピ)をご紹介します。小田原の曽我梅林で育った十郎梅は、皮が薄く、果肉が多く種が小さいのが特徴です。昔、海底が隆起した所と言われ、水はけの良い砂利の土地で育つ十郎梅だからこそ種の固まりが早く、果肉が多くなります。昇珠園の梅が育つ別所梅林「清水」と言う地名の場所には曽我山から湧き出たミネラル豊富な地下水が流れています。たっぷり日差しを浴びて大きく育った昇珠園の完熟十郎梅を使って、美味しく健康に良い梅干を作ってみましょう。

用意するもの

  • 完熟梅(昇珠園では、南高、杉田も作り方は同じです。)
  • 塩(原塩)
  • 漬け樽
  • 重石(水重石)
  • 保存瓶または樽

梅がお手元に届いたらすぐにダンボールを開けて、風を入れてください。梅は生き物です。一本の樹でも、すべての梅が同じ熟度で成長する訳ではありません。そのため、均一の熟度ではありませんが、すべて樹上で十分養分を蓄えた梅達です。完熟梅も、うす青色の状態で収穫します。皮が薄い分、車に揺られ到着した梅は長旅で少々傷もあるかもしれません。完熟しているからこそ!傷つき易く、気温の変化にも敏感です。距離や熟度、気温などを配慮しながら発送しておりますが、実がまだ青く、硬い場合は、お好みになるまで、しばらく置いてください。

昇珠園オリジナル
簡単!失敗しない梅干の作り方

1梅の下処理

生梅を水洗いした後、乾かない程度に水を切ります。
そのままの状態で漬け込み開始です。

※丁寧に拭いたりする必要はありません。皮が薄いのでこするのも厳禁。優しくさっと洗ってください。水分がある方が梅に塩が絡みます。残った水分は、蒸発してしまいます。
※水洗いの後、水に浸しアク抜きをすると書いてある本もありますが、曽我の梅は皮が柔らかいので、浸さなくても構いません。

2漬け込み

用意したお塩を6:4に分ける。4割の方の塩を梅を樽に入れる際、まぶすように使います。梅は最も熟している方が下になるような順番(熟度順)で重ねていきます。そうする事で塩が浸透し、下からすぐに梅酢が上がり、梅酢が上がってくる間に上層にある、未熟な梅も追熟して来ます。

一番熟している梅が下
二番目に熟している梅を乗せる
熟度の一番若い梅が最後
ここまでで40%分の塩を使用

最後に残りの6割の塩を上からまんべんなくふり掛けます。この時から、どんどん塩が溶け梅酢が上がります。重石はまだ乗せないでください。そのまま蓋をして、風通しの良い涼しい場所にしばらく置きます。(1〜2日で梅酢がどんどん上がってきます。)

一番熟している梅が下

3天地返し

梅酢が上がったら、天地返し(上と下をひっくり返す)を行います。

漬け込み直後
しばらくたった様子
梅酢が上がった状態

下の画像はそのままひっくり返す様に入れ替えていますが、熟度によってボールなどにそっと空けて、下に沈んでいる塩を取り除いておきます。一番上にあった梅を下から順番に樽へ戻し、最後に沈んでいた塩を上に置きます。塩がどの梅にも均等に行き渡る様にする為の天地返しです。潰れたり、破れたりしない様に工夫して下さい。

天地返しの様子

天地返しをした後、必ず、樽の底に残った塩を残さず1番上に置いてください。ここで、初めて重石を掛けます。梅がすっかり梅酢に漬かる程度の重石を用意します。重過ぎると潰れて梅の果肉が出てしまいます。

※漬け込む量が少ない場合、高温が続いた場合などは早めに天地返しをして重石を掛け、梅が全部梅酢に漬かっている状態を保つ様にしてください。 

カビを発生させない様にするには、空気に触れさせない事が重要です。普通の重石を掛ける場合でも、ビニールで表面を覆う様にすれば防げます。何度も覗いたりすると、空気にふれてしまい、カビの発生率も高まります。

カビちゃった!どうしよう?!

万が一カビが発生してしまっても、天日干しの日が来るまで、じっとそのままにしてください。慌てて取り除こうとすると梅酢が濁り、梅の実にカビが付着します。天日干しまで我慢していると、カビが乾き、蓋の様な状態になります。天日干しの時にカビを取り除くと、下には澄んだ梅酢の中から梅が顔を出します。

【水重石を使用する】

大きめのビニール袋を二重にして、お水を適量入れます。1Lの水は約1kgの重石に相当します。口を輪ゴムできっちり止めて、樽の上へ置くと、ビニールが樽全体にぴったり広がり、蓋の様な役目をします。

ビニールに水を入れた状態
水重石を乗せた状態
水重石の下の梅

4土用干し

漬け込み後は約3週間で梅漬けが出来上がります。梅雨が明け、お天気が安定する7月下旬から8月上旬に三日三晩干される事をオススメします。(それまで梅酢の中に入っていれば問題ありません)乾き具合を均一にする為、1日2回程度梅を返して、梅をまんべん無くお日様に当ててください。

※返すのは早朝又は夕方に行ってください。炎天下での返し作業は、十郎梅の薄い皮が干しカゴに付いて破れてしまいます。
※雨に当てない事
※日照時間により干す時間を調整してください。


三日三晩干した梅(左)と
梅酢から出したての梅(右)

5保管

三日三晩良いお天気で干し上がった梅干は、しっかりと出来た梅干を下に、柔らかく出来た梅干を上にしてください。樽や瓶に入れて日の当らない涼しい場所に保存して寝かせます。食べ頃は秋以降、寝かせれば寝かせる程美味しくなります。仕上がりの良い梅干程、汁が多く出てしっとりします。

漬け込みの時に塩がまんべんなくまぶされていないと、塩の結晶が出来てしまう場合があります。
天日干し途中の場合  → ざっと水洗いして、又干してください。
寝かせて塩が噴いた場合 → 食べる分だけお湯、又は水に浸し塩を洗い流してから食べてください。